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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻6号

2015年05月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題症例

非腫瘍性疾患:若年性ポリポーシスの胃病変

著者: 鳥谷洋右1 安孫子幸人12 千葉俊美1 永塚真3 上杉憲幸3 菅井有3 松本主之1

所属機関: 1岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野 2盛岡赤十字病院消化器科 3岩手医科大学医学部病理診断学講座

ページ範囲:P.810 - P.813

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疾患の概念
 若年性ポリポーシス(juvenile polyposis ; JPs)は,消化管に過誤腫である若年性ポリープ(juvenile polyp ; JP)が多発するまれな疾患である.1964年にMcCollら1)が大腸に多発する若年性ポリープを認める症例を報告して以降,本疾患は現在,大腸限局型(juvenile polyposis coli),胃限局型(gastric juvenile polyposis),全消化管型(generalized juvenile polyposis)に分類されている.
 弧発性の症例の報告2)もあるが,常染色体優性遺伝を示す家族性の症例が報告されており3),遺伝子変異としてはSMAD4もしくはBM-PR1A遺伝子変異の関与が知られている.特に,SMAD4遺伝子変異を認める症例では形質発現が顕著となることが知られている4)5).胃限局型のJPsでは高率に胃癌を合併することが知られており6),慎重な臨床対応を要する.

参考文献

1)McColl I, Busxey HJ, Veale AM, et al. Juvenile polyposis coli. Proc R Soc Med 57:896-897, 1964
2)古川敬一,八尾建史,松井敏幸,他.胃癌を合併した若年性胃腸管ポリポーシスの1例.胃と腸 35:437-444, 2000
3)樋口哲郎,岩間毅夫,家城和男,他.長期の経過観察中に回腸癌が発生した家族性を示す若年性ポリポーシスの1例.胃と腸 35:451-455, 2000
4)Aretz S, Stienen D, Uhlhaas S, et al. High proportion of large genomic deletions and a genotype phenotype update in 80 unrelated families with juvenile polyposis syndrome. J Med Genet 44:702-709, 2007
5)Handra-Luca A, Condroyer C, de Moncuit C, et al. Vessels' morphology in SMAD4 and BMPR1A-related juvenile polyposis. Am J Med Genet A 138:113-117, 2005
6)梅野淳嗣,前畠裕司,中村昌太郎,他.消化管ポリポーシスと胃病変.胃と腸 47:1257-1269, 2012
7)牛尾恭輔.消化管ポリポーシスのX線診断.胃と腸 35:267-283, 2000
8)小澤俊文,和知栄子,山下直行.早期胃癌とMénétrier病を合併し,家系内発症した胃限局型若年性ポリポーシスの1例.日消誌 107:1641-1650, 2010
9)太田玉紀,渡辺英伸.Peutz-Jeghers症候群と若年性ポリポーシス.病変の形態形成機序と腫瘍化 28:1268-1278, 1993
10)松本主之,檜沢一興,中村昌太郎,他.消化管ポリポーシスの内視鏡診断.胃と腸 35:285-292, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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