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今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題症例
非腫瘍性疾患:サイトメガロウイルス関連胃病変
著者: 辛島嘉彦1 大門裕貴1 高木靖寛1 松井敏幸1 太田敦子2 岩下明德2
所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科 2福岡大学筑紫病院病理部
ページ範囲:P.821 - P.824
文献購入ページに移動サイトメガロウイルス(cytomegalovirus ; CMV)はヘルペスウイルス科のDNAウイルスである.多くが幼少期に感染し,不顕性感染の形で生涯宿主に潜伏感染する.本邦では欧米に比べてCMV抗体陽性者が多く,成人の約90%が抗CMV抗体陽性と言われ,不顕性感染の割合が高い1)2).担癌患者や免疫抑制剤投与中の患者,AIDS(acquired immune deficiency syndrome)患者など易感染性宿主における日和見感染症として一般的であり,全身の臓器に感染症を惹起しうるが,消化管においても多彩な病変を呈することが知られている.消化管病変としては大腸,胃に多いとされるが,小腸炎や食道炎の報告もみられる3).一方,近年少数例ではあるものの,なんら免疫学的異常を持たないと考えられる健常成人においてもCMVによる上部消化管病変を発症したとする報告もあり,日常診療において念頭に置くべき疾患である.本稿ではCMV胃病変について概説する.
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