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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻6号

2015年05月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

微小な早期胃内分泌細胞癌の1例

著者: 田中泰敬1 日下利広1 藤井茂彦1 平田大善1 大岩容子1 冨田友実1 田中秀行1 糸川芳男1 後藤規弘1 越川頼光1 山口大介1 臼井智彦1 中井喜貴1 畦地英全1 國立裕之1 安原裕美子2

所属機関: 1京都桂病院消化器センター・消化器内科 2京都桂病院消化器センター病理診断科

ページ範囲:P.825 - P.832

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要旨●患者は73歳,男性.早期胃癌ESD後の経過観察目的の上部消化管内視鏡検査で,胃体上部小彎に径6mm大の不整形陥凹性病変を認めた.辺縁隆起を有し,領域性のある不整形陥凹性病変であることから,癌と診断した.NBI拡大観察では,陥凹部と辺縁隆起部でそれぞれ異なる不整な表面模様が観察された.生検では,粘膜内に管状腺癌を認め,その腺管間に免疫染色像でchromogranin Aとsynaptophysinが陽性を示す小型異型細胞がみられたことから,endocrine carcinomaと診断し,ESDを施行した.最終病理診断は,endocrine carcinoma,6×4mm,Type 0-IIc,pT1b2(pSM2,600μm),ly1,v0,HM0,VM0であった.陥凹部では,内分泌細胞癌成分で占居されており,辺縁部では,腺癌成分と内分泌細胞癌成分が共存する所見を認めた.追加外科手術を施行したが,腫瘍の遺残はなく,リンパ節転移は認めなかった.

参考文献

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2)宮永太門,海崎泰治,細川治,他.特殊型胃癌の臨床的特徴─胃癌取扱い規約第14版をうけて.胃と腸 45:1882-1893, 2010
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8)海崎泰治,細川治,宮永太門,他.内分泌細胞癌.胃と腸 44:730-734, 2009
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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