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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻7号

2015年06月発行

文献概要

今月の主題 診断困難な炎症性腸疾患 主題

診断困難な感染性腸炎

著者: 大川清孝1 青木哲哉1 上田渉1 大庭宏子1 宮野正人1 藤井英樹1 山口誓子1 倉井修1 末包剛久2 佐野弘治2 追矢秀人3

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2大阪市立総合医療センター消化器内科 3追矢クリニック

ページ範囲:P.897 - P.905

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要旨●エルシニア腸炎,腸結核,アメーバ性大腸炎,サイトメガロウイルス(CMV)腸炎の診断のポイントと内視鏡的特徴像について述べ,非典型的内視鏡像を示す診断困難例について述べた.エルシニア腸炎,腸結核,アメーバ性大腸炎の内視鏡的特徴像はほぼ明らかとなっているが,それでも診断困難例は存在する.CMV腸炎の内視鏡像は多彩であり,内視鏡像のみでなく患者背景から疑う必要がある.それぞれの疾患について診断困難例を提示した.感染性腸炎は実際に病原体が検出されなければ診断できないため,疑わしいが確定診断できない症例が一定数存在する.便培養,生検培養,生検検査,抗体検査,抗原検査などを組み合わせて診断することが重要である.確定診断がつかなくても,内視鏡所見や他の検査所見で確実と思われる場合や重症で生命が危険と思われる場合は治療的診断の適応がある.

参考文献

1)大川清孝,片山千香子,上田渉,他.診断困難な大腸急性炎症性疾患に対する対応─エルシニア腸炎の臨床像と画像所見による診断の進め方.Intestine 14:385-389, 2010
2)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.小腸細菌性感染症.胃と腸 43:635-642, 2008
3)大川清孝.腸結核.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,2版,医学書院,pp 114-119,2012
4)稲葉直也,知花洋子,西福康之,他.腸結核におけるQuantiFERON® TBの意義─QuantiFERON® TB陰性の腸結核2症例.Gastroenterol Endosc 53:3310-3316, 2011
5)大川清孝,上田渉,佐野弘治,他.慢性感染性腸炎の内視鏡診断.Gastroenterol Endosc 52:221-230, 2010
6)大川清孝.炎症性ポリープ主体の病変を呈した腸結核.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,2版,医学書院,pp 120-121,2012
7)大川清孝.赤痢アメーバ感染症.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,2版,医学書院,pp 198-203,2012
8)大川清孝,大庭宏子,青木哲哉,他.アメーバ性大腸炎.臨床肛門病学 2:10-13, 2010
9)大磯龍太,大川清孝,山崎智朗,他.HIV感染者にみられた肛門周囲膿瘍合併アメーバ性大腸炎の1例.消化器科 34:271-277, 2002
10)大川清孝.サイトメガロウイルス腸炎.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,2版,医学書院,pp 154-159,2012
11)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.日常みる大腸炎の鑑別─内視鏡を中心に:サイトメガロウイルス腸炎.Intestine 18:391-396, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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