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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻7号

2015年06月発行

文献概要

今月の主題 診断困難な炎症性腸疾患 ノート

炎症性腸疾患の診断にバイオマーカーは役立つか

著者: 松岡克善1 渡辺守1

所属機関: 1東京医科歯科大学消化器内科

ページ範囲:P.932 - P.934

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要旨●炎症性腸疾患の診断は,内視鏡所見を中心に各種の臨床所見に基づいて行われる.しかし,大腸に病変を有する患者の10〜15%で診断困難例が存在する.炎症性腸疾患のバイオマーカーとしてCrohn病ではASCA,潰瘍性大腸炎ではpANCAが最も検討されている.診断困難な炎症性腸疾患症例において,これらの抗体を用いた正診率は70%前後と比較的良好である.しかし,いずれの抗体も陰性である症例が半数近くあるため,これらのバイオマーカーの臨床的有用性は限定的である.今後,遺伝子多型や腸内細菌叢の解析が進めば,より正確なバイオマーカーが登場してくる可能性があると考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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