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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻8号

2015年07月発行

今月の主題 胃がん検診に未来はあるのか

序説

対策型検診と任意型検診における胃X線,内視鏡,血清学的検査の位置づけと問題点

著者: 細川治1 渡邊透1 佐藤広隆2 真田治人3

所属機関: 1横浜栄共済病院外科 2横浜栄共済病院消化器内科 3横浜栄共済病院健康医学センター

ページ範囲:P.991 - P.994

文献概要

はじめに
 刺激的なタイトルに誘われて,本誌を手にとった読者もおられることと思う.胃がん検診はわが国のがん検診の先駆けとして1960年代に開始された.この時期,国際的にみても他臓器を含めてがん検診は実施されておらず,“世界初”というパイオニア的な意味合いを有していた.二重造影という優れた技術が開発され,早期胃癌分類が提唱され,それらが普及し始めていたことにより胃がん検診は全国に拡大することに成功した.しかし,わが国と同程度かそれ以上に胃癌有病率が高い中南米や東アジア諸国にX線造影検査を用いた胃がん検診が広まることはなく,いわゆる「ガラパゴス化」はここでも起こっている.乳癌,大腸癌,子宮頸癌などのように死亡率減少のエビデンスを有するがん検診においては欧米諸国の受診率はわが国よりはるかに高く,がん検診すべてが後塵を拝している状況であり,発展途上国並みと蔑まれても仕方がない.ここにきて,胃がん検診が将来的に継続するか否かに関して疑問が投げかけられている.第一にはX線造影検査というスクリーニング手法に関する問題であり,今ひとつは若年者におけるHelicobacter pylori(H. pylori)感染率の低下である.

参考文献

1)「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班.推奨レベル.有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン.平成16年度厚生労働省がん研究助成金,p 21, 2006
2)日本消化器がん検診学会全国集計委員会.平成24年度消化器がん検診学会全国集計報告.日消がん検診誌 53:60-86, 2015
3)国立がん研究センターがん予防・検診研究センター.有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版.2015.http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/igan.html(2015年5月27日現在)
4)渋谷大助.内視鏡検査の偽陰性とその対策・検査精度.日本消化器がん検診学会胃内視鏡検診標準化研究会(編),胃内視鏡検診マニュアル.医学書院,pp 25-36, 2010
5)小林正夫.偽陰性対策と事後管理.日本消化器がん検診学会胃細径内視鏡検診研究会(編),経鼻内視鏡による胃がん検診マニュアル.医学書院,pp 67-72, 2014
6)Hosokawa O, Tsuda S, Kidani E, et al. Diagnosis of gastric cancer up to three years after negative upper gastrointestinal endoscopy. Endoscopy 30:669-674, 1998
7)宮脇哲丸,野瀬道宏.経鼻内視鏡スクリーニングの実態と問題点.胃と腸 47:904-916, 2012
8)一般社団法人新潟市医師会.検診の不利益.新潟市胃がん内視鏡検診10年のあゆみ.新潟市,pp 81-84,2014
9)赤松泰次,市川真也,奥平貞英,他.ヘリコバクター・ピロリ感染症の学校検診への導入.日ヘリコバクター会誌 14:7-11,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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