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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻8号

2015年07月発行

文献概要

今月の主題 胃がん検診に未来はあるのか 主題

胃がん検診はいつまで必要か─疫学的な立場から

著者: 山本精一郎1 溝田友里1

所属機関: 1国立がん研究センターがん予防・検診研究センター保健政策研究部

ページ範囲:P.1001 - P.1006

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要旨●胃癌罹患率が減少することが予想されるなか,胃がん検診の必要性を利益・不利益の比較衡量という点から検討した.「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版」に基づき,利益にはNNS(number needed to screen)<1,000人,不利益にはNNR(number needed to recall)>100人を用いた.NNS,NNRの将来試算には,性・年齢階級別の胃癌死亡率の将来推計値および,シナリオとしていくつかの胃がん検診の死亡率減少効果,要精検率を用いた.結果として,本稿で用いた基準からみれば,2025年あたりまでは,死亡率減少効果が高い(相対リスク<0.6〜0.7)の検診であれば,広い年齢層に対して有効という結果であり,死亡率の減少はあまり影響しないということがわかった.

参考文献

1)「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」作成委員会.有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン,2014年度版.http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/igan.html
2)雑賀久美子,松田智大,祖父江友孝.日本のがん死亡の将来推計.祖父江友孝(監).がん・統計白書2012.篠原出版社,pp 83-99,2012
3)国立社会保障・人口問題研究所.日本の将来推計人口.http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sh2401top.html
4)阿部陽介,光島徹,永谷京平,他.Case-control studyの手法を用いた胃癌死亡減少に対する胃癌集団検診の効果の疫学的評価.胃集検の効率化の検討.日消誌 92:836-845, 1995
5)Fukao A, Tsubono Y, Tsuji I, et al. The evaluation of screening for gastric cancer in Miyagi Prefecture, Japan:a population-based case-control study. Int J Cancer 60:45-48, 1995
6)Hamashima C, Ogoshi K, Okamoto M, et al. A community-based, case-control study evaluating mortality reduction from gastric cancer by endoscopic screening in Japan. PLosS One 8:e79088, 2013
7)一般社団法人日本消化器がん検診学会.平成23年度消化器がん検診全国集計資料集.2013
8)一般社団法人新潟市医師会.検診の不利益.新潟市胃がん内視鏡検診10年のあゆみ.pp 81-84,2014
9)国立がん研究センターがん対策情報センター.人口動態統計によるがん死亡データ(1958年〜2013年).http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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