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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻8号

2015年07月発行

画像診断レクチャー

消化管疾患:診断と鑑別の進め方─大腸潰瘍性病変の診断と鑑別 縦走潰瘍と輪状潰瘍の内視鏡的鑑別診断

著者: 大川清孝1

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科

ページ範囲:P.1079 - P.1086

文献概要

はじめに
 1990年に渡辺ら1)は炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ; IBD)の肉眼的鑑別方法について,まず6群の基本肉眼型((1)縦走潰瘍型,(2)輪状潰瘍型,(3)円・卵円潰瘍型,(4)玉石状所見・炎症性ポリープ型,(5)浮腫・充血・出血・びらん型,(6)腫瘍様多発隆起型)のどれに属するかを分類するとした(Table 1).次いで基本病変の肉眼的特徴,すなわち基本病変の辺縁の性状と深さ,周囲粘膜の発赤や浮腫の有無や炎症性ポリープの有無,などで鑑別するとしている.最終的に,この2つに組織学的所見を加えることでIBDの鑑別診断は確実になると述べている.基本肉眼型を6つに分類したが,これらの肉眼型が重複する場合は,原則として上の順位の肉眼型に含めるとしている.
 今回,渡辺の基本肉眼型において上位に位置する重要な肉眼型である縦走潰瘍と輪状潰瘍の内視鏡的鑑別診断について,頻度別に分類して述べる.本稿では感染性腸炎などの手術されない症例を多く含んでいることや,最近の25年間に認知された新しい疾患を含めていることが,渡辺論文との相違点である.また,内視鏡観察は手術標本の肉眼観察に比べて詳細な観察が可能であるため,渡辺論文と若干異なる点もみられる.

参考文献

1)渡辺英伸,味岡洋一,太田玉紀,他.炎症性疾患の病理学的鑑別診断─大腸病変を中心に.胃と腸 25:659-682, 1990
2)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.虚血性大腸炎の臨床像.胃と腸 48:1689-1702, 2013
3)大川清孝,上田渉,佐野弘治,他.collagenous colitisの鑑別診断と治療.胃と腸 44:2006-2017, 2009
4)大川清孝,上田渉,佐野弘治,他.サイトメガロウイルス腸炎.胃と腸 43:1653-1662, 2008
5)佐野弘治,大川清孝,上田渉,他.縦走潰瘍を示しCrohn病との鑑別を要したカンピロバクター腸炎の1例.胃と腸 43:1689-1693, 2008
6)林繁和,神部隆吉,本田亘,他.急性感染性腸炎の内視鏡診断.Gastroenterol Endosc 47:2345-2352, 2005
7)青木哲哉,大川清孝,大平美月,他.平坦型直腸粘膜脱症候群の臨牀的検討.Gastroenterol Endosc 45:2080-2085, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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