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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻9号

2015年08月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

通常内視鏡観察で硬さを認めたが拡大内視鏡観察が深達度診断に有用であった0-IIa+IIc型大腸SM癌の1例

著者: 林奈那1 田中信治1 鴫田賢次郎2 朝山直樹2 西山宗希2 寺崎元美2 中土井鋼一2 岡志郎1 嶋本文雄3 茶山一彰2

所属機関: 1広島大学病院内視鏡診療科 2広島大学病院消化器・代謝内科 3県立広島大学健康科学科

ページ範囲:P.1207 - P.1213

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要旨●患者は70歳代,男性.2012年に便潜血反応陽性の精査目的に大腸内視鏡検査を施行,S状結腸に径15mm大の0-IIa+IIc型病変を認めた.通常内視鏡観察では陥凹部に硬さがありSM浸潤の可能性が示唆されたが,拡大内視鏡観察ではSM深部浸潤所見は認めなかったため,完全摘除生検目的にてESDを施行した.病理組織学的所見は,well differentiated adenocarcinoma,pT1a(SM 600μm),ly0,v0,budding(簇出)Grade 1,HM0,VM0で治癒切除であった.表面型腫瘍において,腫瘍の硬さはSM浸潤以外の理由でも呈する場合があるが,今回,腫瘍の硬さを認めるものの,拡大内視鏡観察でSM深部浸潤所見を否定でき,内視鏡治療で根治できた大腸SM癌を経験したので報告する.

参考文献

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7)浦岡俊夫,斎藤豊,松田尚久,他.表面型早期大腸癌の深達度診断.胃と腸 42:817-822, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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