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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻1号

2016年01月発行

文献概要

今月の主題 慢性胃炎を見直す 主題

残胃炎

著者: 野村幸世1 春間賢2

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科消化管外科学 2川崎医科大学附属川崎病院

ページ範囲:P.87 - P.93

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要旨●残胃炎の原因はH. pylori感染の持続と十二指腸液の逆流と,その両者の混合がある.内視鏡的胃炎所見によりその原因を同定することは困難である.十二指腸液逆流による残胃炎では,内視鏡的所見に比較し,臨床的症状や組織学的炎症は軽度であることが多い.しかし,残胃吻合部には残胃癌ができることがあり,十二指腸液逆流により発癌しうることがわかった.H. pyloriの陽性率は再建法により異なり,十二指腸液逆流が多い再建法ではH. pyloriの陽性率が低下する.昨今,十二指腸液逆流に配慮した再建術式が増えてきている.目指す方向としては,十二指腸液逆流を防止する再建術式を行ったうえで,さらに残胃炎に対しH. pylori除菌を行うことである.

参考文献

1)Nomura S, Terao S, Adachi K, et al. Endoscopic diagnosis of gastric mucosal activity and inflammation. Dig Endosc 25:136-146, 2013
2)Park S, Chun HJ. Helicobacter pylori infection following partial gastrectomy for gastric cancer. World J Gastroenterol 20:2765-2770, 2014
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6)Honda M, Hiki N, Nunobe S, et al. Preoperative vs Postoperative Eradication of Helicobacter pylori. J Am Coll Surg 221:273-279, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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