胃と腸51巻1号

2016年01月発行

早期胃癌研究会症例

特異な形態を呈した十二指腸GISTの1例

著者： 佐野村誠¹ 佐々木有一¹ 横濱桂介¹ 原美紀¹ 金泉美紗¹ 上田康裕¹ 由上博喜¹ 江頭由太郎² 廣瀬善信² 西谷仁³ 樋口和秀³

所属機関： ¹北摂総合病院消化器内科 ²大阪医科大学病理学教室 ³大阪医科大学第2内科

ページ範囲：P.125 - P.133

要旨●患者は70歳代，男性．発熱を主訴に，多発性肝腫瘍と十二指腸腫瘍の精査目的で当院へ入院となった．十二指腸球部後面に3.5cm大の粘膜下腫瘍様の隆起を認め，12mm大の辺縁がsharpな深掘れ潰瘍，腫瘍の露出した結節など，多彩な潰瘍形成と結節を伴う特異な肉眼形態を呈していた．また，腫瘍の管外発育を示唆する周囲の壁外性圧排像もみられた．生検病理組織にてGISTと診断され，十二指腸GISTの多発性肝転移，肝・膵直接浸潤の状態であり，イマチニブ（400mg/day）にて治療を行った．

参考文献

1）Pidhorecky I, Cheney RT, Kraybill WG, et al. Gastrointestinal stromal tumors：current diagnosis, biologic behavior, and management. Ann Surg Oncol 7：705-712, 2000

2）日本癌治療学会，日本胃癌学会，GIST研究会（編）．GIST診療ガイドライン，3版．金原出版，2014

3）五十嵐伸一，鈴木拓，新沼猛，他．十二指腸GIST．日本臨床別冊 消化管症候群（上），日本臨牀社，pp 555-558, 2009

4）西田俊朗．十二指腸病変に対する外科的アプローチ─十二指腸GISTに対する治療方針とその治療成績．臨外 63：1565-1570, 2008

5）郷田憲一，斎藤彰一，池上雅博，他．特異な形態を呈した出血性十二指腸GISTの1例．胃と腸 40：1592-1595, 2005