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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻10号

2016年09月発行

文献概要

今月の主題 表在型Barrett食道癌の診断 主題症例

急速に発生し,遡及的な検討が可能であったBarrett食道由来の未分化癌の1例

著者: 依光展和1 小山恒男1 高橋亜紀子1 塩澤哲2

所属機関: 1佐久総合病院佐久医療センター内視鏡内科 2佐久総合病院佐久医療センター臨床病理部

ページ範囲:P.1353 - P.1359

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要旨●患者は60歳代,男性.下部食道の前壁から右壁側にかけて,8cm大の2型潰瘍性病変を認めた.潰瘍辺縁からの生検標本では中型〜大型の異型細胞が充実性に増殖し,各免疫組織化学染色がすべて陰性であり,食道癌,Type 2,未分化癌,cT3-4N1M1,cStage IVbと診断した.噴門部リンパ節転移,多発肝転移を認め,化学療法を施行したが入院後77日で原病死された.本例は診断5か月前の人間ドックにてEGDが施行されており,遡及的検討が可能であった.GERD-Bを伴うC2M5のSSBEを認め,NBI拡大観察にてBarrett食道に異型はなく,扁平上皮領域にもbrownish areaを認めなかった.特徴的な舌状Barrett粘膜をもとに原発部位を推定したところ,SSBEから発生した未分化癌と推察された.5か月前の内視鏡検査では腫瘍を疑う所見はなく,急速に発生,増大したと推察された.

参考文献

1)MuCullen M, Vyas SK, Winwood PJ, et al. Long-term survival associated with metastatic small cell carcinoma of the esophagus treated by chemotherapy, autologous bone marrow transplantation, and adjuvant radiation therapy. Cancer 73:1-4, 1994
2)幕内博康,島田英雄,千野修,他.特殊組織型の食道癌─内視鏡の立場から.胃と腸 40:320-336, 2005
3)Katsube O, Saito S, Hosoya Y, et al. Barrett's esophageal carcinoma consisting of undifferentiated carcinoma and differentiated adenocarcinoma:report of case. Clin J Gastroenterol 6:207-210, 2013
4)村田篤彦,赤星和也,神代由美子,他.Barrett食道に発生した非小細胞型vimentin陽性未分化癌の1例.胃と腸 42:1543-1549, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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