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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻11号

2016年10月発行

文献概要

今月の主題 肉芽腫を形成する消化管病変 主題

肉芽腫を認める下部消化管疾患

著者: 大川清孝1 青木哲哉1 上田渉1 大庭宏子1 宮野正人1 小野洋嗣1 藤井英樹1 山口誓子1 倉井修1 佐野弘治2 小野寺正征3 中村志郎4

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2大阪市立総合医療センター消化器内科 3市立川西病院病理診断科 4兵庫医科大学炎症性腸疾患学講座内科部門腸管病態解析学講座

ページ範囲:P.1431 - P.1440

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要旨●肉芽腫を認める感染性腸炎について述べた.腸結核とエルシニア腸炎の自験例について,臨床像と内視鏡像を検討し,チフス性疾患については症例を提示した.生検組織で疾患特異的な肉芽腫がみられることは少なく,臨床像,内視鏡像による鑑別診断が重要である.腸結核では無症状例が最も多い.特徴的な内視鏡像は,輪状潰瘍あるいは輪状配列する潰瘍,多発潰瘍瘢痕と活動性潰瘍の併存,発赤を伴う樹枝状不整形潰瘍,敷石像様所見である.エルシニア腸炎の臨床症状は腹痛と発熱が主である.特徴的な内視鏡像は終末回腸の小びらんを伴う腫大したPeyer板,腫大した回盲弁,終末回腸〜上行結腸のアフタである.

参考文献

1)永見康明.終末回腸に巨大潰瘍を認めたパラチフス.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,第2版.医学書院,pp78-79, 2012
2)八尾恒良,櫻井俊弘,山本淳也,他.最近の腸結核─10年間の本邦報告例の解析.胃と腸 30:485-490, 1995
3)大川清孝.腸結核.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,第2版.医学書院,pp 114-119, 2012
TB陰性の腸結核2症例.Gastroenterol Endosc 53:3310-3316, 2011
5)黒丸五郎.腸結核症の病理.結核新書(12).医学書院,1952
6)大川清孝,上田渉,佐野弘治,他.慢性感染性腸炎の内視鏡診断.Gastroenterol Endosc 52:221-230, 2010
7)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.診断困難な感染性腸炎.胃と腸 50:897-905, 2015
8)大川清孝.偶然発見された無症候性エルシニア腸炎.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,第2版.医学書院,pp 58-59, 2012
9)大川清孝,片山智香子,上田渉,他.大腸炎症性病変の診断─診断困難な大腸急性炎症性疾患に対する対応:エルシニア腸炎の臨床像と画像所見による診断の進め方.Intestine 14:385-389, 2010
10)中村志郎.腸チフス・パラチフス.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,第2版.医学書院,pp 74-77, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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