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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻11号

2016年10月発行

文献概要

今月の主題 肉芽腫を形成する消化管病変 主題症例

炭酸ランタンによる胃粘膜病変の2例

著者: 渡邉秀紀1 杉山いずみ1 土屋豊一1 丹治伸夫1 安齋幸夫1 海上雅光2

所属機関: 1わたり病院消化器科 2わたり病院病理診断科

ページ範囲:P.1473 - P.1477

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要旨●炭酸ランタンによる特徴的な胃粘膜病変の2例を経験した.患者はいずれも末期慢性腎臓病で血液透析を受けている70歳代の男性で,炭酸ランタンを服用中であった.上部消化管内視鏡検査では,胃に白色微細顆粒の多発を認めた.同部位からの生検組織診断では粘膜固有層間質に組織球の集簇を認めた.組織球の胞体内には赤褐色調の種々の形態を呈する物質を認めた.近年,炭酸ランタン服用による組織球集簇を特徴とする胃粘膜病変の報告が散見されている.この病変の発症機序と長期的な生体への影響ははっきりしておらず今後の注意深い経過観察,症例の蓄積,検討が必要と思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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