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著者: 九嶋亮治1
所属機関: 1滋賀医科大学臨床検査医学講座(附属病院病理診断科)
ページ範囲:P.1647 - P.1647
文献購入ページに移動発生学の教科書では,Vater乳頭までが前腸由来となっているが,このあたりまでBrunner腺が粘膜固有層深部から粘膜下層に存在する.Brunner腺は胃の粘液腺と酷似しており,それに関連する病変の病理組織学的所見も併せて胃の一部と見なしたほうが理解しやすいこともある.すなわち,球部と下行脚のVater乳頭あたりまでは“小腸の皮を被った胃”で小腸壁内に胃がBrunner腺を舌状に伸ばし自国の領海と主張しているのである1).粘膜を剝がすと多量のBrunner腺が剝き出しになる.この構築が十二指腸に発生する腫瘍の診断と治療を困難なものとしているのかもしれないが,蔵原による序説がこの点を踏まえて十二指腸上皮性腫瘍の診断と治療の問題点を実に見事に総括しており,まずはこの4ページをじっくり読んでから各論に進んでほしい.
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