文献詳細
今月の主題 狭窄を来す小腸疾患の診断
序説
文献概要
はじめに
小腸は5m以上に及ぶ長い管腔臓器であり,腸間膜に固定されながら複雑な腸索を形成している.また,内径は大腸に比べても小さいため容易に管腔狭小化に至る.したがって,小腸の狭窄性病変に遭遇することは比較的多い.しかしながら,小腸内視鏡検査法が確立された今日でも診断に難渋する症例に遭遇するのも事実である.事実,本邦の小腸内視鏡診療ガイドラインでは,“原因不明の消化管出血”とともに“狭窄”も内視鏡検査の適応として重要な徴候に挙げられている1).
狭窄を来す小腸疾患には多種多様の疾病が含まれている2).また,小腸では腫瘍性疾患よりむしろ非腫瘍性病変の頻度が高いことも特徴である.したがって,小腸狭窄を正しく診断するためには,詳細な病歴聴取,臨床検査成績の把握,CT・MRIを含むX線造影所見・内視鏡所見と生検病理組織学的所見を分析し,その上で鑑別診断を想起することが必須となる.本稿では,狭窄を来す小腸疾患の診断過程に関して,筆者の考えを述べる.
小腸は5m以上に及ぶ長い管腔臓器であり,腸間膜に固定されながら複雑な腸索を形成している.また,内径は大腸に比べても小さいため容易に管腔狭小化に至る.したがって,小腸の狭窄性病変に遭遇することは比較的多い.しかしながら,小腸内視鏡検査法が確立された今日でも診断に難渋する症例に遭遇するのも事実である.事実,本邦の小腸内視鏡診療ガイドラインでは,“原因不明の消化管出血”とともに“狭窄”も内視鏡検査の適応として重要な徴候に挙げられている1).
狭窄を来す小腸疾患には多種多様の疾病が含まれている2).また,小腸では腫瘍性疾患よりむしろ非腫瘍性病変の頻度が高いことも特徴である.したがって,小腸狭窄を正しく診断するためには,詳細な病歴聴取,臨床検査成績の把握,CT・MRIを含むX線造影所見・内視鏡所見と生検病理組織学的所見を分析し,その上で鑑別診断を想起することが必須となる.本稿では,狭窄を来す小腸疾患の診断過程に関して,筆者の考えを述べる.
参考文献
1)山本博徳,緒方晴彦,松本主之,他.小腸内視鏡診療ガイドライン.Gastroenterol Endosc 57:2685-2720, 2015
2)別府孝浩.狭窄をきたす疾患.松井敏幸,松本主之,青柳邦彦(編).小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ.医学書院,pp 46-48, 2011
3)梅野淳嗣,江﨑幹宏,前畠裕司,他.虚血性小腸炎の臨床像.胃と腸 48:1704-1716, 2013
4)野村昌史.小腸潰瘍の鑑別診断─過去・現在・未来.胃と腸 49:1255-1257, 2014
5)松本主之,檜沢一興,中村昌太郎,他.小腸の非腫瘍性疾患におけるX線検査の有用性─鑑別診断の立場から.胃と腸 38:1005-1016, 2003
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