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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻13号

2016年12月発行

文献概要

今月の主題 狭窄を来す小腸疾患の診断 主題

狭窄を来す小腸疾患の診断─病理診断の立場から

著者: 平橋美奈子12

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院保健学部門検査技術科学分野 2九州大学大学院医学研究院形態機能病理学

ページ範囲:P.1699 - P.1706

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要旨●小腸狭窄を来す疾患として,癌,悪性リンパ腫,Crohn病,狭窄型虚血性小腸炎について,その肉眼形態と病理組織学的所見について概説した.癌は上皮性変化を伴う高度な輪状狭窄を示し,病理組織学的に癌の浸潤に伴う高度な線維性間質反応が伴う.一方,悪性リンパ腫は間質反応の少ない腫瘍細胞の充実性増殖から壁が肥厚し,浅い潰瘍と幅の狭い輪状狭窄を示す.Crohn病は腸間膜付着側に一致した縦走潰瘍から偏側性狭窄を来し,しばしば裂孔性の深くて幅の狭い潰瘍を伴う.狭窄型虚血性小腸炎は全周性区域性潰瘍を伴う管状狭窄を示す.組織学的には潰瘍底に血管に富む肉芽組織と粘膜下層の高度な線維筋症と線維化,比較的強い慢性炎症細胞浸潤を伴う.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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