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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻13号

2016年12月発行

今月の主題 狭窄を来す小腸疾患の診断

主題症例

原発性小腸癌

著者: 石橋英樹1 二村聡2

所属機関: 1福岡大学医学部消化器内科 2福岡大学医学部病理学講座

ページ範囲:P.1708 - P.1709

文献概要

症例
 患者は50歳代,女性.意識障害,嘔吐,体重減少(20kg/9か月)を主訴に当院へ救急搬送された.血液検査にて,貧血(Hb6.3g/dl), 腎機能障害(BUN 85mg/dl,Cr 5.7mg/dl),低Na血症(Na 123mEq/l)を認めた.輸液管理,輸血を行い,貧血,高度脱水,電解質異常を補正し,全身状態の改善を認めた.精査のため施行した画像検査にて,空腸に単発の狭窄性病変を認めた.本例はTreitz靱帯より約15cm肛門側に発生した空腸癌であり,好発部位であるTreitz靱帯より60cm以内1)に発生していた.小腸X線造影検査ではnapkin-ring signを認め,狭窄長が短い輪状狭窄型であった(❶).小腸内視鏡検査では,全周性に周堤を伴う不整形潰瘍性病変を認めた(❷,❸).同部の生検診断は,高分化管状腺癌であった.腹部CT,PET-CTでは,空腸に壁肥厚像,FGD(18F-fluorodeoxyglucose)の異常集積を認めた(❹,❺).以上の点を踏まえ,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.
 切除後の固定標本では,全周性の周堤隆起を有する潰瘍性病変を認め,口側腸管は著しく拡張していた(❻).病理組織学的には,漿膜組織まで浸潤した高異型度の高分化管状腺癌であった(❼).

参考文献

1)八尾恒良,八尾建史,真武弘明,他.小腸腫瘍─最近5年間(1995〜1999)の本邦報告例の集計.胃と腸 36:871-881, 2001
2)丸山尚子,平田一郎.小腸悪性腫瘍の診断と治療─原発性上皮性悪性腫瘍(癌腫).胃と腸 48:1429-1436, 2013
3)濱田義浩,二村聡.小腸悪性腫瘍の臨床病理学的特徴─小腸原発性上皮性悪性腫瘍(癌腫)の臨床病理学的検討.胃と腸 48:1380-1391, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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