文献詳細
今月の主題 狭窄を来す小腸疾患の診断
主題症例
文献概要
症例
患者は30歳代,女性.1〜2か月ごとに繰り返す38〜39℃台の発熱と上腹部痛および背部痛の精査目的で当科に紹介された.受診時の血液検査では異常を認めなかったが,2週間後の症状出現時にはWBC 28,900/μl,CRP 10.72mg/dlと高度の炎症所見を認めた.緊急上部消化管内視鏡検査では,十二指腸水平脚に発赤・びらんの多発を伴った浮腫状結節状粘膜(❶)を認めたが,生検組織では高度の炎症細胞浸潤を認めるのみであった(❷).
感染症を否定した後に経口プレドニゾロン40mg/dayで治療を開始したが,25mg/dayに漸減した段階で症状が再燃した.再評価目的に行ったゾンデ法小腸X線造影検査(7か月後:有症状時)では,十二指腸水平脚から上部空腸にかけて粘膜は結節状変化を呈し,特に十二指腸では壁の伸展性が低下し,管腔狭小化を伴っていた(❸).内視鏡検査(9か月後:有症状時)では,同部位に結節状隆起が密在し管腔は狭小化していた(❹,❺).
患者は30歳代,女性.1〜2か月ごとに繰り返す38〜39℃台の発熱と上腹部痛および背部痛の精査目的で当科に紹介された.受診時の血液検査では異常を認めなかったが,2週間後の症状出現時にはWBC 28,900/μl,CRP 10.72mg/dlと高度の炎症所見を認めた.緊急上部消化管内視鏡検査では,十二指腸水平脚に発赤・びらんの多発を伴った浮腫状結節状粘膜(❶)を認めたが,生検組織では高度の炎症細胞浸潤を認めるのみであった(❷).
感染症を否定した後に経口プレドニゾロン40mg/dayで治療を開始したが,25mg/dayに漸減した段階で症状が再燃した.再評価目的に行ったゾンデ法小腸X線造影検査(7か月後:有症状時)では,十二指腸水平脚から上部空腸にかけて粘膜は結節状変化を呈し,特に十二指腸では壁の伸展性が低下し,管腔狭小化を伴っていた(❸).内視鏡検査(9か月後:有症状時)では,同部位に結節状隆起が密在し管腔は狭小化していた(❹,❺).
参考文献
1)Arasawa S, Nakase H, Ozaki Y, et al. Mediterranean mimicker. Lancet 380:2052, 2012
2)山本章二朗,三池忠,野田裕子,他.腸炎で発症し,経過中,周期熱・全身関節炎を併発し,家族性地中海熱と診断した1例.胃と腸 50:943-949, 2015
3)Takahashi T, Tsukuda H, Itoh H, et al. An atypical familial Mediterranean fever patient who developed ulcers in the terminal ileum and recurrent abscess-like lesions in multiple organs. Intern Med 51:2239-2244, 2012
4)Kitade T, Horiki N, Katsurahara M, et al. Usefulness of small intestinal endoscopy in a case of adult-onset familial Mediterranean fever associated with jejunoileitis. Intern Med 54:1343-1347, 2015
掲載誌情報