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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻13号

2016年12月発行

文献概要

今月の主題 狭窄を来す小腸疾患の診断 主題症例

非特異性多発性小腸潰瘍症(chronic enteropathy associated with SLCO2A1;CEAS)

著者: 細江直樹1 久松理一2

所属機関: 1慶應義塾大学病院内視鏡センター 2杏林大学大学院医学研究科第三内科学

ページ範囲:P.1724 - P.1726

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症例
 患者は40歳代,女性.10歳代より貧血,低蛋白血症を認め,十二指腸潰瘍で幽門側胃切除歴あり.
 家族歴:弟は皮膚骨膜肥厚症,小腸潰瘍症(詳細不明),妹は非特異性多発性小腸潰瘍症(chronic enteropathy associated with SLCO2A1;CEAS)(SLCO2A1遺伝子変異陽性).
 血液検査値:ヘモグロビン値8.6g/dl,アルブミン値1.9g/dl.
 精査のため施行した小腸X線造影検査(❶)で下部回腸に多発する狭窄,斜走する潰瘍瘢痕を認めた.バルーン小腸内視鏡検査(❷〜❹)では,下部回腸に偽憩室様所見,斜走する浅い多発潰瘍を認めた.臨床経過,家族歴,諸検査所見および,SLCO2A1遺伝子変異陽性であることから(❺,❻),CEASと診断し経過観察を行っている.

参考文献

1)Umeno J, Hisamatsu T, Esaki M, et al. A hereditary enteropathy caused by mutations in the SLCO2A1 gene, encoding a prostaglandin transporter. PLoS Genet 11:e1005581, 2015
2)「難治性小腸潰瘍の診断法確立と病態解明に基づいた治療法探索」班(編).非特異性多発性小腸潰瘍症画像診断アトラス.日本医療研究開発機構委託研究開発費 難治性疾患実用化研究事業,pp 1-31, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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