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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻13号

2016年12月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

肺結核患者にみられた多発憩室を伴う回腸狭窄の1例

著者: 石田哲士1 清水誠治2 石田英和3 横溝千尋2 福田亘2 上島浩一2 髙島英隆2 富岡秀夫2 松山剛久4 荻野史朗5 赤見敏和5 岡野晋治5 江頭由太郎6 石黒信吾7

所属機関: 1大阪がん循環器病予防センター内視鏡検診部 2大阪鉄道病院消化器内科 3奈良県総合医療センター病理診断科 4京都府立医科大学移植・一般外科 5大阪鉄道病院外科 6大阪医科大学病理学教室 7PCLジャパン大阪病理・細胞診センター

ページ範囲:P.1727 - P.1733

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要旨●患者は60歳代,男性.肺結核治療後で,さらに非定型抗酸菌症の内服治療中,小腸イレウスを発症した.下部消化管X線造影検査および下部消化管内視鏡検査で回盲弁から約70cmの範囲の回腸に多発性の憩室,潰瘍,狭窄を認めた.狭窄が高度であったため手術を施行した.切除標本で多発する憩室はすべて腸間膜付着側に存在し,病理組織学的に仮性憩室であった.憩室開口部近傍と憩室間の粘膜には不整形潰瘍が多発していた.潰瘍は病理組織学的にUl-IIで,粘膜下層に浮腫と高度の線維性肥厚がみられ,固有筋層の肥厚とともに狭窄を来したものと考えられた.肺結核の治療歴とリンパ節にみられた類上皮細胞肉芽腫から陳旧性腸結核が存在すると考えられた.しかし切除標本の肉眼所見は腸結核の特徴的病像とは異なっており,多発憩室が病変の形成に関与した可能性についても考察した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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