胃と腸51巻2号

2016年02月発行

今月の主題 まれな食道疾患の鑑別診断

症例　─隆起を主体とする非上皮性病変の特徴と鑑別─食道平滑筋肉腫

著者： 和田将史¹

所属機関： ¹九州医療センター消化器科

ページ範囲：P.191 - P.193

文献概要

症例の特徴
　胸部中部食道に粘膜のひきつれや結節集簇様変化を伴う粘膜下腫瘍（submucosal tumor ; SMT）様隆起を認めた．悪性病変を疑い複数回の生検を行った結果，平滑筋肉腫を疑う所見が得られ外科的切除を施行した．病理学的所見はleiomyosarcoma，low grade malignancyの診断であった．本症例は病理組織学的にも良悪性の鑑別に難渋した低悪性度の平滑筋肉腫であった．平滑筋腫と平滑筋肉腫には臨床的，病理組織学的にも良悪性の鑑別が困難である症例が存在し，転移の出現にて初めて肉腫の診断に至る場合もあるため，注意を要する^2）．

参考文献

1）Yamamoto Y, Nishisaki H, Koma Y, et al. Polypoid leiomyosarcoma of the esophagus treated by endoscopic submucosal dissection. Dig Endosc 27:700-703, 2015

2）西巻正，下地英明，國仲弘一，他．食道平滑筋腫・肉腫．外科治療 96:412-416, 2007

3）門馬美和子，多田正弘，田中洋一，他．消化管の平滑筋性腫瘍，神経性腫瘍，GISTの診断と治療．胃と腸 39:539-551, 2004