文献詳細
文献概要
今月の主題 まれな食道疾患の鑑別診断
症例 ─隆起を主体とする非上皮性病変の特徴と鑑別─食道MALTリンパ腫
著者: 高橋亜紀子1 小山恒男1
所属機関: 1佐久総合病院佐久医療センター内視鏡内科
ページ範囲:P.194 - P.196
文献購入ページに移動60歳代,男性.嚥下時のつかえ感を自覚したため,EGD(esophagogastroduodenoscopy)を施行したところ,上部食道に,表面平滑な隆起性病変を長軸方向に数条認め,巨木様隆起を呈していた.下部食道に進むにつれ,さらに内腔を占居していたが,スコープは通過可能であった.反転観察像にて,病変は噴門部にまで進展していた.ヨード染色にて隆起部は染まっており,表層は非腫瘍で覆われていた.超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)にて,高エコーと低エコーが混在した腫瘤を2/5〜3/5層に認めた.ボーリング生検にて,小型〜中型で核異型の乏しいリンパ球類似細胞の集簇を認めた.免疫組織化学染色像では,CD3陰性,CD5陰性,CD20陽性,Bcl-2陽性,cyclin D1陰性,Ki-67 label index 16%であり,MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断した1).
参考文献
掲載誌情報