胃と腸51巻2号

2016年02月発行

早期胃癌研究会症例

虫垂開口部に発生したPeutz-Jeghers型ポリープの1例

著者： 佐野村誠¹ 佐々木有一¹ 横濱桂介¹ 原美紀¹ 金泉美紗¹ 上田康裕¹ 由上博喜¹ 西口完二² 長田憲和³ 江頭由太郎⁴ 廣瀬善信⁴ 樋口和秀⁵

所属機関： ¹北摂総合病院消化器内科 ²北摂総合病院一般・消化器外科 ³北摂総合病院病理診断科 ⁴大阪医科大学病理学教室 ⁵大阪医科大学第2内科

ページ範囲：P.254 - P.260

文献概要

要旨●患者は60歳代，女性．虫垂炎症状の既往があり，便潜血陽性にて大腸内視鏡検査を施行したところ，虫垂開口部に短い茎を有する2cm大の軟らかな隆起性病変を認めた．腫瘤の表面には，分葉の間の溝に厚い粘液が貯留しており，梅干し状と形容される特異な肉眼形態を示していた．拡大観察では，類円形，楕円形，星芒状の多彩なpitが観察され，腫瘍・非腫瘍の鑑別が困難な病変であった．組織学的には，樹枝状に分岐した粘膜筋板を軸に均一な分葉構造を示し，非腫瘍性の過形成性大腸腺管の増殖を認め，Peutz-Jeghers型ポリープの像であった．

参考文献

1）樫田博史，櫻井俊治，宮田剛．Peutz-Jeghers型ポリープ．消内視鏡 24:1723, 2012

2）半田祐一，増田多恵子，田所美佳，他．腺腫成分を合併した大腸単発性Peutz-Jeghers型ポリープの1例．埼玉医会誌 24:1476-1478, 1990

3）沼賀有紀，大矢敏裕，高橋憲史，他．虫垂に発生したPeutz-Jeghers型ポリープの1例．日臨外会誌 73:2886-2891, 2012

4）Iida H, Inamori M, Sekino Y, et al. Acute appendicitis associated with Peutz-Jeghers-type hamartoma of the appendix. Dig Dis Sci 53:2832-2833, 2008

5）久部高司，青見賢明，長浜孝，他．過誤腫性病変─内視鏡診断の立場から．胃と腸 48:1118-1128, 2013

6）樫田博史，中村大樹，若村邦彦，他．こんな病変に出会ったら─特異な形状のポリープ．消内視鏡 21:1366-1379, 2009