胃と腸51巻3号

2016年03月発行

今月の主題 知っておきたいまれな大腸悪性腫瘍 主題

まれな大腸悪性腫瘍の病理診断

著者： 平橋美奈子¹² 瀧澤延善³ 大石善丈² 小田義直²

所属機関： ¹九州大学大学院医学研究院保健学部門検査技術科学分野 ²九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 ³九州大学別府病院内科

ページ範囲：P.309 - P.323

要旨●びまん浸潤型（いわゆる4型）大腸癌と肛門管に発生した悪性腫瘍，大腸内分泌細胞癌の肉眼所見ならびに病理所見について，当院で診断した症例を提示しながら解説した．4型大腸癌は組織学的に癌性リンパ管症が目立つlymphangiosis（LA）型と，高度な線維性間質反応を伴うscirrhous（SC）型，粘液結節の豊富な粘液癌が腸管壁全層に浸潤増殖するmuconodular（MN）型，腫瘍先進部やその近傍に著明な慢性炎症細胞浸潤や小膿瘍を形成するinflammatory（IF）型の4型に分けて，それぞれの組織型に近いと考えられる症例を提示した．肛門管に発生した悪性腫瘍については，直腸型腺癌，pagetoid spreadした腺癌，Crohn病に合併した痔瘻癌，扁平上皮癌，悪性黒色腫の組織像を提示した．大腸内分泌細胞癌については自験例10例の臨床病理学的事項をまとめ，その組織像ならびに肉眼像を提示した．

参考文献

1）麿伊正義，上田博，渡辺騏七郎．びまん浸潤型大腸癌の診断．胃と腸 23：599-608, 1988

2）小池盛雄，滝沢登一郎，船田顕信，他．びまん浸潤型大腸癌の病理．胃と腸 23：609-615, 1988

3）笹井平，吉川宣輝，元村和由，他．びまん浸潤型大腸癌の病理学的検討．日本大腸肛門病会誌 38：129-135, 1985

4）黒川幸典，吉川宣輝，三嶋秀行，他．4型（びまん浸潤型）大腸癌の臨床病理学的検討．日消外会誌 33：176-180, 2000

5）北郷実，固武健二郎，山本聖一郎，他．びまん浸潤型を呈したS状結腸高分化腺癌の1例．日本大腸肛門病会誌 54：141-145, 2001

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8）藤原章，吉田正一，加藤洋，他．肛門管癌の病理．胃と腸 22：279-290, 1987

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10）稲次直樹．日本における肛門管悪性腫瘍性病変の現状．日本大腸肛門病会誌 61：967-970, 2008

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12）平橋美奈子．肛門管の悪性腫瘍．青笹克之，八尾隆史（編）．癌診療指針のための病理診断プラクティス─大腸癌．中山書店，pp 169-176, 2012

13）岩渕三哉．カルチノイド腫瘍と内分泌細胞癌．八尾隆史，藤盛孝博（編）．腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会（監）．腫瘍病理鑑別診断アトラス─大腸癌．文光堂，pp 165-171, 2011

14）岩渕三哉，渡辺英伸，野田裕，他．腸カルチノイドの病理．胃と腸 24：869-882, 1989

15）岩渕三哉，渡辺英伸，石原法子，他．消化管のカルチノイドと内分泌細胞癌の病理．臨消内科 5：1669-1681, 1990

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