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文献概要
今月の主題 知っておきたいまれな大腸悪性腫瘍 主題症例
悪性黒色腫
著者: 松島誠1 黒水丈次1 岡本康介1 長谷川信吾1 下島裕寛1 河野洋一1 香取玲美1 杉田博俊1 小菅経子1 鈴木裕1 鈴木和徳1 池上雅博2 栗原聰元3 大田貢由4
所属機関: 1松島病院大腸肛門病センター 2東京慈恵会医科大学病理学講座 3東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科 4横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器外科
ページ範囲:P.374 - P.377
文献購入ページに移動悪性黒色腫(malignant melanoma)は,神経堤起源細胞でメラニン産生細胞であるメラノサイト(melanocyte)に由来する悪性腫瘍である.そのほとんどは皮膚に発生するが,その他メラノサイトが存在する口腔,鼻腔,食道,胃や大腸・肛門などの消化管の粘膜や目の脈絡膜,脳軟膜,脊髄膜にも発生する.本邦における悪性黒色腫の罹病率は1.12人/10万人とされており,欧米での発生頻度は本邦に比べて高く,さらに増加する傾向にあるとされている.
原発部位別頻度をみると,消化管原発悪性黒色腫は,全悪性黒色腫の0.1〜2.5%と極めて少ない.本邦における消化管原発の悪性黒色腫は,1999年の嶋田ら1)による集計では,直腸肛門部300例,食道143例,小腸9例,結腸5例,胃2例で,海外の報告でも結腸原発悪性黒色腫は,全悪性黒色腫の0.4〜5.6%と極めて少ない.また,大腸悪性黒色腫の中では,歯状線を中心とした直腸肛門部に発生するものが最も多く(直腸肛門部は基底層にメラニン色素細胞を含む重層扁平上皮を持ち,悪性黒色腫の発生母地になると考えられている),結腸原発悪性黒色腫の約75%を占めると言われている.直腸肛門部原発悪性黒色腫は全肛門部悪性腫瘍の0.25〜3.9%である.直腸肛門部の悪性黒色腫は早期にリンパ行性,血行性転移を来しやすく,診断時既に70%の症例で転移を認めると言われている2).
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