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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻4号

2016年04月発行

早期胃癌研究会症例

肺非結核性抗酸菌症に合併した消化管アミロイドーシスの1例

著者: 上田渉1 山田明子2 大川清孝1 白石訓3 洲鎌芳美3 桑原学3 宮野正人1 藤井英樹1 大庭宏子1 青木哲哉1 山口誓子1 倉井修1 小野寺正征45 石黒信吾5

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2大阪市立総合医療センター初期救急診療部 3大阪市立十三市民病院呼吸器内科 4市立川西病院病理診断科 5ピーシーエルジャパン大阪病理・細胞診センター

ページ範囲:P.511 - P.517

文献概要

要旨●患者は70歳代,女性.Mycobacterium aviumによる肺非結核性抗酸菌症で5年前から治療中も難治であった.腹痛,下痢を主訴に入院し,大腸内視鏡検査を施行した.終末回腸に輪状傾向の浅い潰瘍が多発し,同部には微細顆粒状粘膜がみられた.一方,大腸では直腸粘膜はほぼ正常であるが,上行結腸から下行結腸には顆粒状粘膜がみられた.生検組織にて,回腸では粘膜固有層深層を中心に多量に,大腸では主に粘膜上皮直下にアミロイドA蛋白質が沈着していた.部位による内視鏡像の差は組織学的なアミロイドの沈着形式と沈着量の差によるものと考えられた.なお本邦での非結核性抗酸菌症に続発するAAアミロイドーシスは,自験例を含め6例の報告しかみられなかった.6例の平均生存期間が3.6か月と短く予後不良であり,早期発見,早期治療の重要性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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