icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻6号

2016年05月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

深達度診断に苦慮した0-IIc型大腸SM癌の1例─マイスナー神経叢同定の試み

著者: 村田朋哉1 西山仁1 峯彩子1 木下梨華子1 塩田純也1 後藤高介1 東俊太朗1 黒濱大和2 伊東正博2 宿輪三郎3

所属機関: 1国立病院機構長崎医療センター消化器内科 2国立病院機構長崎医療センター病理診断科 3佐世保共済病院内視鏡センター

ページ範囲:P.827 - P.835

文献購入ページに移動
要旨●患者は70歳代,男性.大腸内視鏡検査にて横行結腸に病変を指摘され,当科へ紹介となった.注腸X線造影検査にて横行結腸肝彎曲近傍に陥凹性病変を認めたが,SM深部浸潤を示唆する所見に乏しかった.大腸内視鏡検査では病変の陥凹内にわずかな隆起と緊満感を認め,クリスタルバイオレット染色拡大観察ではVI型高度不整のpit patternを示し,SM深部浸潤が疑われた.EUSでも第3層の菲薄化が疑われ,SM深部浸潤を疑う所見であった.完全摘除生検目的としてESDを施行した.術後標本でも深達度診断に苦慮する症例であったが,マイスナー神経叢を同定し,SM浸潤距離を推定する方法を施行した.

参考文献

1)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン医師用,2014年版.金原出版,2014
2)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,8版.金原出版,2013
3)津田純郎,小林広幸,菊池陽介,他.大腸sm癌の深達度診断─垂直浸潤距離1,000μmに対するX線学的伸展不良所見の診断精度の検討.胃と腸 39:1339-1349,2004
4)河野弘志,鶴田修,野田哲裕,他.内視鏡的完全摘除が可能なcSM癌の内視鏡診断.胃と腸 46:1485-1496,2011
5)帆足俊男,津田純郎,松井敏幸,他.内視鏡的切除適応拡大のための大腸sm癌の深達度診断─通常内視鏡検査の立場から.胃と腸 34:731-736, 1999
6)Hisabe T, Yao K, Imamura K, et al. White opaque substance visualized using magnifying endoscopy with narrow-band imaging in colorectal epithelial neoplasms. Dig Dis Sci 59:2544-2549, 2014
7)佐野寧.画像強調観察─光デジタル法(Optical Digital Method):NBI.臨消内科 24:47-52, 2008
8)田中信治,平田真由子,大庭さやか,他.大腸癌の質的・量的診断─NBI拡大観察:広島大学分類─微小血管構築とpit様構造の総合評価.Intestine 13:188-194, 2009
型pit pattern.早期大腸癌 9:135-140, 2005
10)William E. Katzin, Robert E. Petras. Small Intestine. Stacey E. Mills. Histology for Pathologists. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp 655-656, 2012
11)久部高司,田邊寛,青見賢明,他.完全摘除生検可能な大腸T1(SM)深部浸潤癌の術前診断─注腸X線造影.胃と腸 49:990-1001, 2014
12)野田哲裕,鶴田修,長田修一郎,他.完全摘除生検可能な大腸T1(SM)深部浸潤癌の術前診断─通常内視鏡.胃と腸 49:1003-1014, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?