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文献詳細

雑誌文献

胃と腸51巻7号

2016年06月発行

文献概要

消化管組織病理入門講座・17

【小腸・大腸】虚血性腸炎,薬剤性腸炎

著者: 八尾隆史1

所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学

ページ範囲:P.960 - P.967

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はじめに
 腸の虚血性疾患はさまざまな原因で発生するが,急性期においては共通の特徴的な病理組織像を示すため,生検組織のみでも確定診断が可能である.ただし,慢性期には特発性腸間膜静脈硬化症*1以外は特徴的な病理組織像は示さないため,その診断においては特徴的な肉眼像と他疾患の除外が必要である.特発性腸間膜静脈硬化症は特殊な虚血性腸疾患であり,その他の虚血性腸疾患とは臨床病理学的特徴が全く異なるが,特徴的な病理組織像を示すので,知っていれば生検組織のみでも確定診断が可能である.
 薬剤による粘膜傷害にはさまざまなものがあり,薬剤による影響と病理組織像の関連は不明なものも多いが,ある特定の薬剤により特徴的な病理組織像を示すことがあり,鑑別診断に生検組織診断が有用な場合がある.
 腸の炎症疾患は病期や病勢により幅広い病理組織像を示し,虚血性腸炎と薬剤性腸炎においても同様であり,それらの特徴的あるいは特異的な病理組織像を把握しておくことが確定診断に有用である.本稿ではそれらの特徴的あるいは特異的な病理組織像を中心に解説する.
 なお,虚血性変化の原因としては抗生物質起因性出血性大腸炎など薬剤性のものもあり,特殊な虚血性腸疾患である特発性腸間膜静脈硬化症の少なくとも一部は薬剤との関連があることも示唆されている.虚血性腸炎と薬剤性腸炎の原因を含めた鑑別診断の際は,これらは一部オーバーラップしていることも念頭に置いておく必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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