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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻1号

2017年01月発行

文献概要

今月の主題 知っておくべき胃疾患の分類 主題

ポリープ

著者: 吉永繁高1 小田一郎1 田中優作1 関口正宇1 高丸博之1 山田真善1 阿部清一郎1 坂本琢1 野中哲1 鈴木晴久1 中島健1 斎藤豊1 吉田裕2 谷口浩和2 関根茂樹2 九嶋亮治3

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院内視鏡科 2国立がん研究センター中央病院病理科 3滋賀医科大学医学部臨床検査医学講座(病理診断科)

ページ範囲:P.87 - P.96

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要旨●一般臨床において,“ポリープ”というと隆起を呈する良性上皮性腫瘍を指すことが多い.山田らは胃ポリープを4つに分類し,今でも山田分類として用いられている.胃底腺ポリープは半球状を呈する隆起であり,萎縮や炎症のないH. pylori未感染の粘膜に発生する.過形成性ポリープは亜有茎性〜有茎性の発赤調のポリープで炎症やH. pylori感染に関連する.大きな過形成性ポリープは担癌率が高く注意が必要である.hamartomatous inverted polypは異所性胃腺から成る胃底腺領域に好発する孤発性の大型のポリープである.腺腫は良性腫瘍であり胃型,腸型と分けられ,胃型腺腫の30%には発見時に癌が含まれていることがあると言われている.このように“ポリープ”を呈する胃病変はさまざまな種類があり,それぞれに合わせた診断,治療を行う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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