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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻1号

2017年01月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

特徴的な内視鏡像を呈した里吉症候群の1例

著者: 福田芳生1 徳重浩一1 渋谷明日香1 坂江貴弘1 畠中敏郎1 柊元洋紀1 大石一郎1 宮原広典1 谷口鎌一郎1 堀之内博人1 中村勇一1 松木田純香2 前之原茂穂3 橋口真也4 上村修司5 井戸章雄5

所属機関: 1鹿児島厚生連病院消化器内科 2鹿児島厚生連病院病理診断科 3鹿児島厚生連病院外科 4はしぐちクリニック 5鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学

ページ範囲:P.103 - P.109

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要旨●患者は20歳代,女性.食思不振と腹痛を主訴に当科へ紹介され受診となった.前医にて十二指腸狭窄を指摘されていた.上部消化管内視鏡検査では胃体部を中心に著明な萎縮粘膜を認め,多数の囊胞様隆起と色素沈着を伴っていた.十二指腸にはKerckring皺襞の消失を伴う粗糙粘膜と撒布性白斑を認めた.生検は病理組織学的にgastroenterocolitis cystica polyposaの所見を呈していた.筆者らは,既往歴が明らかでなかった時点で,その特徴的な内視鏡・病理所見から里吉症候群と診断することができた.里吉症候群は原因不明の非常にまれな疾患であるため,適切な診断と治療のために知見を集積することは重要と考えられる.上部消化管内視鏡検査の通常観察と生検は,本症の特徴的な所見を得るのに有用であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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