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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻10号

2017年09月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜下腫瘍の診断と治療 序説

胃粘膜下腫瘍の診断─過去,現在,そして未来

著者: 長浜隆司1

所属機関: 1千葉徳洲会病院消化器内科

ページ範囲:P.1259 - P.1260

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 胃粘膜下腫瘍という名称は,「消化器内視鏡用語集」1)の定義では“粘膜よりも下方に存在する壁内病変により粘膜が挙上されて生じた隆起の総称”とされており,1930年代〜1940年代初頭にComfort2),Knetsch3),Scottら4),Schindlerら5),Casselら6)が胃の脂肪腫,胃線維腫,平滑筋腫などにsubmucosal tumor,submucous tumorなどの言葉を用いたことに端を発している.本邦では赤沢,信田ら7)が“手術前,胃粘膜下良性腫瘍と診断しえた胃脂肪腫の治験例”を報告したのが,胃粘膜下腫瘍という臨床診断名を用いた最初の報告であり,その診断については,1964年に,信田ら8)が当時の知見をまとめてTable 1の通り診断基準を定めている.
 X線検査,内視鏡検査において,粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)の診断は比較的容易である.しかしながら,実際にはSMTのみならずSMT様の形態を呈するさまざまな疾患(Table 2)との鑑別診断が必要であり,おのおのの疾患についての形態学的特徴を十分に理解しておく必要がある.

参考文献

1)日本消化器内視鏡学会用語委員会(編).消化器内視鏡用語集,第3版.医学書院,2011
2)Comfort MW. Submucous lipomas of the gastrointestinal tract:report of twenty-eight cases. Surg Gyn & Obst 52:101-118, 1931
3)Knetsch A. Submuköses Lipom des Magans. Röntgenpraxis 12:159-161, 1940
4)Scott OB, Brunschwig A. Submucosal lipomas of the stomach:a review of the literature and report of a case associated with carcinoma. Arch Surg 52:253-259, 1946
5)Schindler R, Sandweiss DJ, Mintz IL. Benign submucosal tumors of the stomach:A gastroscopic study. Am J Digest Dis 9:289-292, 1942
6)Cassel MA, Guccione JB. Submucous lipoma of the stomach:case report and review of the literature. AMA Arch Surg 70:598-601, 1955
7)赤沢喜三郎,信田重光,津田一彦,他.手術前胃粘膜下良性腫瘍と診断し得た胃脂肪腫の治験例.消化器病の臨床 1:44-49, 1959
8)信田重光,黒沢孝夫,滝田照二,他.胃粘膜下腫瘍の診断.日臨 22:113-124, 1964
9)日本癌治療学会,日本胃癌学会,GIST研究会(編).GIST診療ガイドライン,第3版.金原出版,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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