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今月の主題 胃粘膜下腫瘍の診断と治療 主題
胃粘膜下腫瘍の病理診断
著者: 二村聡1
所属機関: 1福岡大学医学部病理学講座
ページ範囲:P.1261 - P.1269
文献購入ページに移動要旨●胃粘膜下腫瘍の基本形は,病巣の主座を粘膜下層に置き,周囲粘膜と同様の粘膜によって被覆された,半球状ないし球状の隆起である.胃粘膜下腫瘍は良性から悪性までさまざまな病型・組織型を包括している.実臨床では,粘膜下腫瘍の良・悪性の診断が要求されるが,少量の生検組織では診断に苦慮する.病理医は肉眼形態や臨床情報を参考にしつつ,免疫染色などの補助手段を併用し,病理診断の精度向上を目指す一方で,臨床家は挫滅のない良質かつ十分量の組織を採取することが重要である.
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