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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻10号

2017年09月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜下腫瘍の診断と治療 主題関連

胃炎症性類線維ポリープの多彩な内視鏡所見─診断のポイント

著者: 小澤俊文12 和知栄子3

所属機関: 1佐藤病院消化器内科 2総合犬山中央病院消化器内科 3坪井病院病理診断科

ページ範囲:P.1324 - P.1330

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要旨●2004年2月〜2016年1月までの12年間に,筆者が経験した胃IFPは14症例14病変であった.粘膜固有層を中心に発育するIFPは山田・福富分類II〜IV型を呈することが多く,隆起径に比べて立ち上がりが急峻であった.一方,粘膜下層中心に発育するものは山田・福富分類I型でSMTを呈した.粘膜筋板を中心として腫瘤の存在する位置や量的多寡に応じて形態が異なると言える.隆起中央の近接観察では,表面構造に発赤調でわずかな窩間部の開大所見や腺管密度の上昇,隆起中央の瘢痕などの所見を認めた.以上より,胃IFPでは亀頭様外観はむしろまれであり,前述した内視鏡的所見に着目することにより,特徴のない隆起性病変においても病変発見時にIFPである可能性を強く疑う契機となる.

参考文献

1)山辺和生,荻野信夫,小川法次,他.巨大な胃Inflammatory fibroid polypの1例─本邦報告例138症例の集計および検討.日臨外会誌 51:1972-1975, 1990
2)浦岡正義,淵上忠彦,岩下明德,他.巨大な胃Inflammatory Fibroid Polypの1例.胃と腸 23:95-101, 1988
3)西出憲史,滝沢耕平,小野裕之,他.経過観察中に増大傾向を認めた胃炎症性類線維ポリープの1例.胃と腸 48:98-105, 2013
4)小林広幸,淵上忠彦,堺勇二,他.消化管炎症性類線維ポリープ(IFP)の診断と治療.胃と腸 39:640-646, 2004
5)船田理子,小林正明,広野玄,他.内視鏡的に長期間の経時的変化が観察できた胃inflammatory fibroid polypの2例.Gastroenterol Endosc 47:318-324, 2005
6)南部匠,渡辺英伸,遠城寺宗知.胃のInflammatory Fibroid Polyp─特にその初期病変について.福岡医誌 70:721-731, 1979
7)長南明道,望月福治,池田卓,他.内視鏡的に切除された胃のInflammatory Fibroid Polyp(IFP)9例の検討.Gastroenterol Endosc 30:1504-1509, 1988
8)石橋英樹,阿部光市,二村聡.非腫瘍性疾患:IFP(inflammatory fibroid polyp).胃と腸 50:818-820, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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