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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻10号

2017年09月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜下腫瘍の診断と治療 主題症例

大きな粘膜下腫瘍様の形態を呈したHelicobacter pylori陰性未分化型胃癌の1例

著者: 徳竹康二郎1 佐藤幸一1 宮島正行1 木村岳史1 丸山雅史1 藤澤亨1 森宏光1 松田至晃1 和田秀一1 西尾秋人2 渡辺正秀3 赤松泰次4

所属機関: 1長野赤十字病院消化器内科 2長野赤十字病院消化器外科 3長野赤十字病院病理部 4長野県立信州医療センター内視鏡センター

ページ範囲:P.1331 - P.1338

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要旨●患者は40歳代,女性.健診にて軽度の貧血を指摘され,前医にて上部消化管内視鏡検査を受けたところ,胃前庭部後壁に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を指摘された.半球状の形態を呈し,病変中心に潰瘍を形成していた.生検にて印環細胞癌が検出され,20XX年10月に精査加療目的で当院へ紹介された.拡大内視鏡所見では,隆起の表面は大部分が非腫瘍粘膜に覆われていたが,病変中心部の潰瘍辺縁とその近傍の小びらんには血管の口径不同を認めた.超音波内視鏡検査では,辺縁不明瞭なびまん性の壁肥厚を呈していた.背景粘膜に萎縮はなく,Helicobacter pylori未感染と考えられた.幽門側胃切除術を施行し,病理組織学的には未分化型腺癌が粘膜内から漿膜下まで浸潤し,静脈侵襲を認めたが,リンパ管侵襲やリンパ節転移はみられなかった.

参考文献

1)結城豊彦,佐藤匡,石田一彦,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した胃癌─臨床および画像的特徴と鑑別診断.胃と腸 38:1527-1536, 2003
2)西野隆平,吉田真理子,松下栄紀,他.粘膜下腫瘍様に発生し内視鏡的に6カ月間経過観察した胃低分化型腺癌の1例.ENDOSC FORUM digest dis 31:45-51, 2015
3)石黒信吾,塚本吉胤,春日井務,他.粘膜下腫瘍様の形態を示す胃癌─病理学的検討.胃と腸 38:1519-1526, 2003
4)Matsuo T, Ito M, Takata S, et al. Low prevalence of Helicobacter pylori-negative gastric cancer among Japanese. Helicobacter 16:415-419, 2011
5)Ono S, Kato M, Suzuki M, et al. Frequency of Helicobacter pylori-negative gastric cancer and gastric mucosal atrophy in a Japanese endoscopic submucosal dissection series including histological, endoscopic and serological atrophy. Digestion 86:59-65, 2012
6)藤崎順子,山本智理子,堀内祐介,他.Helicobacter pylori陰性未分化型早期胃癌の特徴.胃と腸 49:854-861, 2014
7)九嶋亮治,松原亜季子,柿木里枝,他.Helicobacter pylori陽性胃癌と陰性胃癌の比較─病理の立場から:H.pylori陰性・非萎縮性粘膜に通常型胃癌は発生するのか.胃と腸 42:967-980, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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