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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻10号

2017年09月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜下腫瘍の診断と治療 主題症例

特徴的な超音波像を呈した胃アニサキス性好酸球性肉芽腫の1例

著者: 小澤俊文12 海上雅光3

所属機関: 1佐藤病院消化器内科 2総合犬山中央病院消化器内科 3わたり病院病理科

ページ範囲:P.1348 - P.1353

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要旨●患者は50歳代,男性.検診の上部消化管内視鏡検査にて胃角部前壁に約10mm大のSMTを認めた.超音波内視鏡(EUS)では比較的均一な低エコー腫瘤であり,その中央部に楕円形で高エコー輝度の構造物が確認された.11か月前には異常を認めないことが確認されたが診断に至らず,確定診断目的にESDを施行した.粘膜下層に寄生虫とみられる線状の異物を認め,密な炎症細胞浸潤とリンパ濾胞から成る腫瘤を認めた.無症状であったことから緩和型の胃アニサキス症による好酸球性肉芽腫と最終診断された.EUSで認めたcentral hyperechogramは胃アニサキス好酸球性肉芽腫の特徴的所見とされており,これを認識することはunnecessary surgeryを防ぐためにも極めて重要と考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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