文献詳細
文献概要
--------------------
書評「≪プリンシプル消化器疾患の臨床≫ 第1巻 食道・胃・十二指腸の診療アップデート」
著者: 浅香正博1
所属機関: 1北海道医療大学
ページ範囲:P.1440 - P.1440
文献購入ページに移動 私が卒業したのは1972年であるが,当時からみると現在の消化器病学の進歩には本当に驚かせられる.上部消化管疾患に興味を持ってこれまで長い期間にわたって診療に従事してきたが,今日のような診療体系ができあがるなどとは考えることはできなかった.
当時の上部消化管の診断はバリウム検査が主体であり,内視鏡検査がようやく芽吹いてきたところであった.先端カメラで視野が狭く,ファイバー繊維を通して観察するため,直視で診断することは難しく,カメラで撮った写真を皆で検討し,診断をつけていた.この時代,胃の生理学的研究をするなどほとんど考えられなかった.研究テーマとしては画像診断と病理しかなかったので,科学とは無縁の世界であると半ば公然と言われていた.確かに当時,胃潰瘍にしても,いくら薬を飲ませても本当に治らなかった.3割ぐらいは外科に回さざるを得なかったのである.
当時の上部消化管の診断はバリウム検査が主体であり,内視鏡検査がようやく芽吹いてきたところであった.先端カメラで視野が狭く,ファイバー繊維を通して観察するため,直視で診断することは難しく,カメラで撮った写真を皆で検討し,診断をつけていた.この時代,胃の生理学的研究をするなどほとんど考えられなかった.研究テーマとしては画像診断と病理しかなかったので,科学とは無縁の世界であると半ば公然と言われていた.確かに当時,胃潰瘍にしても,いくら薬を飲ませても本当に治らなかった.3割ぐらいは外科に回さざるを得なかったのである.
掲載誌情報