胃と腸52巻12号

2017年11月発行

今月の主題 大腸小・微小病変に対するcold polypectomyの意義と課題

主題

大腸小・微小病変に対する治療と偶発症─hot biopsy，polypectomy，EMR

著者： 松下弘雄¹ 吉川健二郎¹ 髙木亮¹ 原田英嗣¹ 田中義人¹ 加藤文一朗¹ 吉田優子¹ 津田一範¹ 田村恵理¹

所属機関： ¹秋田赤十字病院消化器病センター

ページ範囲：P.1564 - P.1570

文献概要

要旨●hot biopsy・polypectomy・EMRは高周波発生装置を使用した，いわゆる“焼き切る”方法で大腸病変を切除する治療法である．内視鏡的切除において重要なことは再発することなく治療することであり，それは小・微小病変に対しても同様と考える．高周波発生装置を使用し“焼き切る”治療法は切除断端に熱変性を生じ，病変が切除辺縁に近接している場合でも完全切除率の向上が期待できる．内視鏡治療において注意すべき偶発症は主に出血・穿孔であるが，基本的な手技を段階ごとに確認しつつ確実に施行することにより，偶発症の予防につながる．また，偶発症が発生したときは安全を第一に考え，迅速な対応が必要である．

参考文献

1）Rosenberg N. Submucosal saline wheal as safety factor in fulguration of rectal and sigmoidal polyp. AMA Arch Surg　70：120-122, 1955

2）Deyhle P, Largiader F, Jenny S, et al. A method for endoscopic electroresection of sessile colonic polyps. Endoscopy　5：38-40, 1973

3）多田正弘，嶋田正勝，柳井秀雄，他．新しい胃生検法“strip biopsy”の開発．胃と腸　19：1107-1116, 1984

4）沢田俊夫，斎藤幸夫，武藤徹一郎．ポリペクトミー・ホットバイオプシー．胃と腸　29：99-106, 1994

5）Williams CB. Diathermy-biopsy─a technique for the endoscopic management of small polyps. Endoscopy　5：215-218, 1973

6）松下弘雄，山野泰穂．ホットバイオプシー．田中信二，小山恒男，山野泰穂（編著）．消化器内視鏡治療のコツとポイント．日本メディカルセンター，p 53, 2003

7）山野泰穂，吉川健二郎，木村友昭，他．ポリペクトミー，内視鏡的粘膜切除術．臨外　65：172-179, 2010

8）松下弘雄，山野泰穂，今井靖，他．内視鏡切除技術の進歩：スネアリングの技術的工夫─遺残・再発の防止対策．早期大腸癌　7：531-537, 2003

9）山野泰穂，松下弘雄，黒田浩平，他．表面型大腸腫瘍に対するEMRの基本とコツ．消内視鏡　7：1734-1738, 2005

10）松下弘雄，山野泰穂，黒田浩平．EMR15 穿孔防止対策．田中信二（編著）．大腸のEMR/ESD．メジカルビュー，pp 84-86, 2006

11）山野泰穂，黒田浩平，佐藤健太郎，他．早期大腸癌に対する内視鏡治療：大腸─スネア法．胃と腸　41：545-549, 2006

12）松下弘雄，山野泰穂，吉川健二郎，他．大腸病変に対するEMRの基本手技．日大腸検会誌　32：117-122, 2016

13）松下弘雄，山野泰穂，吉川健二郎，他．安全かつ確実な大腸EMRテクニック．大腸がんperspective　3：208-211, 2017

14）Yamano H, Matsushita H, Yamanaka K, et al. A study of physical efficacy of different snares for eno study of physical efficacy of different snares for endoscopic mucosal resection. Dig Endosc　16（Suppl）：S85-88, 2004

15）田中信二，樫田博史，斎藤豊，他．大腸ESD/EMRガイドライン．Gastroenterol Endosc　56：1598-1617, 2014

16）日本消化器病学会（編）．大腸ポリープ診療ガイドライン2014．南江堂，2014

17）山野泰穂，前田聡，松下弘雄，他．EMR手技の実際と偶発症対策．消外　27：339-345，2004