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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻12号

2017年11月発行

今月の主題 大腸小・微小病変に対するcold polypectomyの意義と課題

主題

cold polypectomyの意義と課題─私はこう考える:病理医の立場から

著者: 八尾隆史1

所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学

ページ範囲:P.1608 - P.1609

文献概要

 大腸腺腫のpolypectomyにより大腸癌発生率を低下させることが報告され1),積極的なポリープ切除は臨床的意義が高いと考えられている.欧米では,癌化の危険性が低く,経過観察されるような小さなポリープでさえ,発見したものはすべて切除し,切除病変を未回収のままとして,病理組織診断も行わない“Resect and Discard”という方法が行われており,大腸癌の発生予防やサーベイランスの費用削減にも有効であるとの考えもある2)3)
 従来は内視鏡的ポリープ切除では,スネアや生検鉗子を用いる方法,あるいはEMR(endoscopic mucosal resection)やESD(endoscopic submucosal dissection)においても高周波切開凝固装置を用いていたが,最近高周波切開凝固装置を用いないCSP(cold snare polypectomy)あるいはCFP(cold forceps polypectomy)でも遅発性の出血や穿孔の危険が少ないことがわかり,特に1cm以下の小さい病変に対してCSP/CFPが普及しつつある4).当施設でもCSP/CFPは積極的に採用され,筆者自身も3個の大腸ポリープをCSPにより切除していただいた.

参考文献

1)Zauber AG, Winawer SJ, O'Brien MJ, et al. Colonoscopic polypectomy and long-term prevention of colorectal-cancer deaths. N Engl J Med 23:687-696, 2012
2)Ignjatovic A, East JE, Suzuki N, et al. Optical diagnosis of small colorectal polyps at routine colonoscopy(Detect InSpect ChAracterise Resect and Discard ; DISCARD trial):A prospective cohort study. Lancet Oncol 10:1171-1178, 2009
3)Kessler WR, Imperiale TF, Klein RW, et al. A quantitative assessment of the risks and cost savings of forgoing histologic examination of diminutive polyps. Endoscopy 43:683-691, 2011
4)浦岡俊夫,松田尚久.小型大腸ポリープに対するCold polypectomy.Gastroenterol Endosc 57:2370-2378, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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