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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻13号

2017年12月発行

文献概要

今月の主題 咽頭・頸部食道癌の診断と治療 主題

咽頭・頸部食道表在癌に対する内視鏡治療の適応と限界—ELPSの立場から

著者: 川久保博文1 大森泰2 真柳修平1 中村理恵子1 北川雄光1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部一般・消化器外科 2川崎市立井田病院外科

ページ範囲:P.1706 - P.1714

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要旨●近年,咽頭・頸部食道領域においても多くの表在癌が発見され,咽頭・頸部食道表在癌の診断・治療は非常に注目されている.筆者らは咽頭表在癌に対し,ELPSを開発し施行してきた.ELPSは咽喉頭領域のほぼすべての病変に対して切除可能であり,広範囲の病変でも短時間で安全かつ確実な一括切除が可能である.しかし,病変が食道入口部を越え,頸部食道に達すると喉頭挙上してもワーキングスペースが狭く,鉗子が干渉してしまう.そのため,食道入口から頸部食道の病変はESDの適応である.下咽頭から頸部食道に連続する表在癌に対しては下咽頭はELPS,食道はESDで切除するハイブリッド内視鏡手術の適応である.咽頭・頸部食道表在癌に対する内視鏡治療はELPSとESDの両方の手技を切除部位によって適材適所に使用することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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