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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻13号

2017年12月発行

文献概要

今月の主題 咽頭・頸部食道癌の診断と治療 主題

頸部食道癌の内視鏡診断

著者: 門馬久美子1 藤原純子1 三浦昭順2 長沼有加1 松井俊大2 鈴木邦士2 千葉哲磨2 堀口慎一郎3 比島恒和3 吉田操4

所属機関: 1がん感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん感染症センター都立駒込病院食道外科 3がん感染症センター都立駒込病院病理科 4早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.1715 - P.1730

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要旨●2007〜2016年に経験した頸部食道表在癌55例57病変(男性46例,女性9例)を対象に検討した.他院発見が8例8病変(14.0%),当院発見が47例49病変〔86.0%(食道癌EMR/ESD後36.8%,食道癌術後26.3%,同時性多発癌7.0%,他臓器癌10.5%,一般検査5.3%)〕であった.当院の内視鏡検査は,挿入時は白色光を主体に,抜去時はNBIで観察を行っている.挿入時の白色光観察で発見した13病変中6病変(46.2%)は,T1a-MM以深癌であった.抜去時のNBI観察で発見した21病変中17病変(81.0%)は15mm以下であり,T1b-SM癌が2病変含まれるも,大半はT1a-LPMまでの癌であった.食道入口部近傍の3病変を含め,6病変の発見にはアタッチメント装着が有用であった.57病変の腫瘍長径は,最小2mmから最大43mmであり,病変の約80%は20mm以内であった.病型は,0-I型が2病変(3.5%),0-IIa型および0-IIa型の混合型が10病変(17.5%),0-IIb型が7病変(12.3%),0-IIc型が38病変(66.7%)であった.深達度は,T1a-EP癌が32病変(56.1%),T1a-LPM癌が12病変(21.1%),T1a-MM癌が7病変(12.3%),T1b-SM1癌が2病変(3.5%),T1b-SM2癌が4病変(7.0%)であり,T1a-LPMまでの癌が約77%を占めていた.T1a-MM癌1病変とT1b-SM2癌2病変の3病変は脈管侵襲陽性,T1b-SM1癌1病変はINFcであった.頸部食道表在癌を効率よく発見するためには,食道癌の既往や,多発ヨード不染を有する症例を中心に,鎮静剤使用下で内視鏡検査を行い,NBIで観察する.頸部食道の内視鏡観察は食道入口部を越え,咽頭部まで行うが,病変との距離間が保てない場合はアタッチメントやキャップ,フードなどを装着して観察する.

参考文献

1)藤原純子,門馬久美子,立石陽子,他.頸部食道表在癌の特徴と鑑別診断─NBI内視鏡を含めて.胃と腸 47:360-372, 2012
2)島田英雄,千野修,西隆之,他.頸部食道表在癌の内視鏡診断と治療.消化器内科 28:104-114, 2016
3)日本食道学会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,第11版.金原出版,2015
4)門馬久美子,藤原純子,立石陽子,他.咽頭・食道の拡大内視鏡正常像.胃と腸 51:535-543, 2016
5)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.多発食道癌と粘膜切除.胃と腸 36:1039-1047, 2001
6)横山顕.食道表在癌の危険因子.胃と腸 46:561-570, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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