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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻13号

2017年12月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

胃型粘液形質を呈した0-IIc型早期直腸癌の1例

著者: 中野尚子1 高濱和也2 塚本徹哉3 前田晃平1 大森崇史1 城代康貴1 生野浩和1 宮田雅弘1 小村成臣1 鎌野俊彰1 田原智満1 長坂光夫1 中川義仁1 柴田知行1 大宮直木1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化管内科 2高浜内科 3藤田保健衛生大学病理診断科

ページ範囲:P.1739 - P.1747

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要旨●患者は50歳代,男性.下部直腸に径25mm大の発赤の強い表面陥凹型腫瘍を認めた.NBI拡大観察でvessel patternは中央で網目・らせん状血管,辺縁で細い血管を認め,avascular areaは認めなかった.surface patternは不明瞭で,JNET分類Type 2Bと診断.クリスタルバイオレット染色拡大観察では,VI型高度不整pit patternを認め,一部にI型pitが混在していた.患者本人の希望でESDを施行した.moderately differentiated tubular adenocarcinoma(tub2>por1>por2),pT1a(SM1,400μm),ly(−),v(−),pHM0,pVM1.MUC5AC,MUC6,pepsinogen IIが陽性で,胃型粘液形質を呈していた.直腸に占居し,かつ胃型粘液形質を呈し,低分化成分のあるLST-NG(0-IIc)病変は希少症例と考え,報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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