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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻2号

2017年02月発行

文献概要

今月の主題 消化管結核の診断と治療─最近の進歩 主題症例

粘膜下腫瘍様の内視鏡像を呈した粟粒結核症の腸病変の1例

著者: 三上栄1 山下幸政1 清水誠治2 平川旭人1 横出正隆1 植村久尋1 星充1 板井良輔1 安村聡樹1 池田英司1 高田真理子1 住友靖彦1 小野寺正征3

所属機関: 1神戸市立医療センター西市民病院消化器内科 2大阪鉄道病院消化器内科 3市立川西病院病理診断科

ページ範囲:P.225 - P.231

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要旨●患者は67歳,女性.前医で成人Still病と診断され,加療が行われたが発熱などの臨床症状が改善しないため当院へ転院となる.転院後,免疫抑制剤やステロイド薬の投与などの加療中に突然下血を認めた.大腸内視鏡検査では盲腸から直腸にかけて多発する粟粒大の白色粘膜下腫瘍様隆起を認めた.生検組織から炎症細胞浸潤を伴う壊死組織および抗酸菌が確認された.その後の全身精査で喀痰,肝臓,骨髄,胃液の培養検査で結核菌が検出されたため,粟粒結核症と診断した.腸結核で粘膜下腫瘍様の所見がみられることは大変まれである.また,本例は腸病変から粟粒結核症の診断に至った症例であり,教訓的であるため報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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