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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻2号

2017年02月発行

文献概要

今月の主題 消化管結核の診断と治療─最近の進歩 主題症例

腸管病変の高度急性期像と思われる全周性潰瘍を形成した回盲部結核症の1例

著者: 吉村大輔1 永松諒介1 濱田匠平1 丸岡諒平1 落合利彰1 水谷孝弘1 森田祐輔1 西岡慧1 長﨑洋司1 仁保宏二郎1 岩尾梨沙1 北川祐介1 芥川宗樹1 加藤誠也2 梶谷竜路3 松浦弘3

所属機関: 1済生会福岡総合病院内科  2済生会福岡総合病院病理診断科 3済生会福岡総合病院外科

ページ範囲:P.239 - P.248

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要旨●患者は60歳代,男性.3週間持続する右下腹部痛と発熱のため当院へ紹介され入院した.血液検査で炎症所見と肝胆道系酵素の上昇,CT検査で回腸終末の限局性全周性の壁肥厚を認めた.下部消化管内視鏡検査では回盲弁から盲腸腸間膜側にびらんの集簇と帯状の顆粒状粗糙粘膜がみられ,回盲弁は開大し,回腸終末にかけて全周性の潰瘍性病変が連続していた.注腸X線造影検査では回腸終末の潰瘍性病変は口側の境界が明瞭で,辺縁に厚みを有していた.生検で上皮下ならびに潰瘍底に小型肉芽腫の多発とZiehl-Neelsen染色像で多数の桿状抗酸菌を認め,培養で結核菌が同定された.腸結核の像としては境界明瞭な全周性潰瘍の辺縁に厚みを有し,近傍に萎縮瘢痕帯を伴わない点が非典型的であり,滲出性肉芽に多数の抗酸菌が確認されたことからも腸管病変の高度急性期の所見と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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