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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻3号

2017年03月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

特異的な大腸内視鏡像を呈した糞線虫症の1例

著者: 三上栄1 丸尾正幸2 山下幸政1 星充1 横出正隆1 植村久尋1 板井良輔1 安村聡樹1 池田英司1 高田真理子1 住友靖彦1 小野寺正征3

所属機関: 1神戸市立医療センター西市民病院消化器内科 2広島市立広島市民病院内科 3市立川西病院病理診断科

ページ範囲:P.365 - P.373

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要旨●特異的な大腸内視鏡像を呈し,診断に難渋した糞線虫症の1例を経験した.患者は70歳代,男性.主訴は慢性下痢,体重減少.2年前に感染性腸炎の疑いで入院加療を受けたが,保存的加療で症状は改善し,経過観察となっていた.精査のため,大腸内視鏡検査を施行したところ,S状結腸から直腸に発赤,びらんを伴う小隆起が多発していた.診断がつかなかったため,上部消化管内視鏡検査を施行した.十二指腸粘膜の浮腫と白色絨毛を認めた.生検上,十二指腸の陰窩内および大腸の粘膜固有層に虫体を,両部位の粘膜下層に好酸球中心の炎症細胞浸潤を認め,糞線虫症と診断した.糞線虫感染による大腸炎の報告は少なく,さらに病変が左側結腸優位の症例はまれであるため報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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