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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻4号

2017年04月発行

文献概要

今月の主題 消化管内分泌細胞腫瘍の新知見 主題

大腸内分泌細胞癌の臨床病理学的検討

著者: 島田麻里1 海崎泰治2 平沼知加志1 道傳研司1 服部昌和1 橋爪泰夫1

所属機関: 1福井県立病院外科 2福井県立病院病理診断科

ページ範囲:P.423 - P.429

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要旨●2001年〜2015年の間に,当院で経験した大腸内分泌細胞癌18例を臨床病理学的に検討した.筆者らが経験した症例は腫瘍の厚みがある2型もしくは3型の腫瘍で,内分泌細胞癌成分は腫瘍深部や潰瘍底に存在していた.生検で未分化成分を検出した症例が多いが,合併する腺癌の比率で,生検による術前診断は困難と考えられる症例も存在した.腫瘍内の内分泌細胞癌成分の量の違いは臨床病理学的特徴や予後を反映せず,内分泌細胞癌成分が少量であっても同様に予後不良であった.近年,集学的治療による予後改善が試みられており,治療方針を決定するうえで術前診断は重要である.深部浸潤傾向が強い症例や生検で未分化成分を伴う症例は本疾患も念頭に置いて検査を進める必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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