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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻4号

2017年04月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

盲腸周囲炎を合併した回盲部限局性Crohn病の1例

著者: 岩尾梨沙1 吉村大輔1 髙橋俊介2 池田浩子1 仁保宏二郎1 濱田匠平1 永松諒介1 水谷孝弘1 落合利彰1 原武直紀3 定永倫明3 加藤誠也4 中島明彦4 平橋美奈子5

所属機関: 1済生会福岡総合病院消化器内科 2九州大学大学院形態機能病理学 3済生会福岡総合病院外科 4済生会福岡総合病院病理診断科 5九州大学大学院医学研究院保健学部門検査技術科学分野

ページ範囲:P.495 - P.503

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要旨●患者は30歳代,女性.201X年2月下旬より右下腹部に違和感を自覚した.その後右下腹部痛,嘔気嘔吐,下痢も伴うようになり,発症から約3週後に当科を受診した.右下腹部に手拳大の有痛性腫瘤を触知し,造影CT検査では回盲部から上行結腸にかけて壁肥厚と周囲の脂肪織混濁所見を認めた.大腸内視鏡検査,注腸および小腸X線造影検査では回腸終末から回盲弁にかけて限局性の高度狭小化,盲腸から上行結腸に腸間膜付着側優位の壁伸展不良を認めた.通過障害のため腹腔鏡補助下回盲部切除術が施行された.病理組織学的所見では回腸終末腸間膜付着側に縦走潰瘍および裂溝,壁外膿瘍がみられ,盲腸部は膿瘍の波及による漿膜炎が主たる所見であった.虫垂を主として回腸壁にも非乾酪性肉芽腫を認め回盲部限局性のCrohn病と診断した.消化管の他部位に病変は指摘されず,2年経過した現在も無症状,無所見で経過観察中である.

参考文献

1)渡辺英伸,岩下明徳,味岡洋一,他.虫垂・盲腸Crohn病の病理学的特徴と鑑別診断.胃と腸 36:183-194, 2001
2)Rutgeerts P, Geboes K, Vantrappen G, et al. Predictability of the postoperative course of Crohn's disease. Gastroenterology 99:956-963, 1990
3)矢野智則,砂田圭二郎,佐藤博之,他.小腸潰瘍の鑑別診断─内視鏡診断を中心に.胃と腸 49:1283-1291, 2014
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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