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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 解剖・組織

肛門・肛門管の解剖用語(anatomy of anus and anal canal)

著者: 藤原美奈子1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院形態機能病理

ページ範囲:P.541 - P.542

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定義
 肛門(anus)は,消化管の終末部であり,糞便の排出口として認識されている.視診の際に確認できる外口(anal orifice)と肛門周囲の皮膚との境界,つまり外口の縁である肛門縁(anal verge)から成るものを一般的に肛門と呼ぶが,その範囲の規定はいまだ不明瞭である.肛門縁より1.5〜2.0cmほど奥に歯状線(rental line)が存在し,これが肛門と直腸の接合部,すなわち発生学的には外胚葉と内胚葉の接合部になる.歯状線は隆起を形成する肛門乳頭(anal papilla)と陥凹を形成する肛門陰窩(anal crypt)から形成される.肛門陰窩には肛門導管(anal duct)が開口しており,肛門腺(anal gland)へと続く1)
 肛門管(anal canal)の定義もさまざまで,肛門縁から歯状線までが解剖学的肛門管(anatomical anal canal),肛門縁から恥骨直腸筋付着部上縁までが外科的肛門管(surgical anal canal),内肛門括約筋の上下縁で囲まれる部分を組織学的肛門管(pathological anal canal)と呼ばれている2).内肛門括約筋は,直腸固有筋層の内輪筋に連続した平滑筋であり,肛門縁上部まで伸びていることから,外科的肛門管と組織学的肛門管はほぼ近しい部分を指していると考えることもできる(シェーマ).

参考文献

1)松田圭二,渡邊聡明.肛門・肛門管の解剖用語.胃と腸 47:630-632, 2012
2)West KP. Normal anal region:anatomy, histology relevant to pathological practice and specimen handling. Shepherd NA, Warren BF, Williams GT, et al(eds). Morson and Dawson's Gastrointestinal Pathology, 5th ed. Wiley-Blackwell, West Sussex, pp 759-760, 2013
3)二村聡,山田梢.内視鏡医のための腸管病理組織学入門.G.I. Res 18:554-559, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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