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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔咽喉頭・食道〕

食道メラノーシスと食道メラノーマ(melanosis of the esophagus, melanoma of the esophagus)

著者: 三浦昭順1 堀口慎一郎2

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 2がん・感染症センター都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.548 - P.548

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定義
 重層扁平上皮に覆われた食道粘膜は,通常は灰白色調の光沢のある粘膜として観察される.これは,食道の基底層にメラノサイトがごく少数(2〜8%)しか存在せず,メラニン顆粒を認めないからである.基底層のメラニン顆粒が著しく増加することにより,食道粘膜が黒色調を呈するものをメラノーシスと言う(Fig. 1,2).内視鏡検査による一般人の頻度は約0.1%程度とされているが,扁平上皮癌周囲では30%程度に認められる1)
 基底層のメラノサイトから発生する腫瘍が悪性黒色腫である(Fig. 3,4).食道原発悪性黒色腫の頻度は少なく,本邦の食道悪性腫瘍の0.1〜0.9%とされる.中下部食道に80%と多く,ほとんどが隆起性腫瘍を形成し,有茎性あるいは亜有茎性のポリープ状隆起が約1/3を占める.腫瘍細胞の産生するメラニン色素の量により腫瘍の色調は異なり,黒色から褐色調,灰色調などさまざまである(melanotic type)が,10%程度に無色素性の腫瘍(amelanotic type)もみられる.

参考文献

1)大橋健一.食道悪性黒色腫とメラノサイトーシス.田久保海誉,大橋健一(編).食道癌.文光堂,pp 154-159, 2012
2)横山顕.食道表在癌の危険因子.胃と腸 46:561-570, 2011
3)松井芙美,上堂文也.悪性黒色腫.「胃と腸」編集委員会(編).胃と腸アトラスI 上部消化管,2版.医学書院.pp 117-118, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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