文献詳細
文献概要
増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔咽喉頭・食道〕
食道メラノーシスと食道メラノーマ(melanosis of the esophagus, melanoma of the esophagus)
著者: 三浦昭順1 堀口慎一郎2
所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 2がん・感染症センター都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.548 - P.548
文献購入ページに移動重層扁平上皮に覆われた食道粘膜は,通常は灰白色調の光沢のある粘膜として観察される.これは,食道の基底層にメラノサイトがごく少数(2〜8%)しか存在せず,メラニン顆粒を認めないからである.基底層のメラニン顆粒が著しく増加することにより,食道粘膜が黒色調を呈するものをメラノーシスと言う(Fig. 1,2).内視鏡検査による一般人の頻度は約0.1%程度とされているが,扁平上皮癌周囲では30%程度に認められる1).
基底層のメラノサイトから発生する腫瘍が悪性黒色腫である(Fig. 3,4).食道原発悪性黒色腫の頻度は少なく,本邦の食道悪性腫瘍の0.1〜0.9%とされる.中下部食道に80%と多く,ほとんどが隆起性腫瘍を形成し,有茎性あるいは亜有茎性のポリープ状隆起が約1/3を占める.腫瘍細胞の産生するメラニン色素の量により腫瘍の色調は異なり,黒色から褐色調,灰色調などさまざまである(melanotic type)が,10%程度に無色素性の腫瘍(amelanotic type)もみられる.
参考文献
掲載誌情報