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文献詳細

雑誌文献

胃と腸52巻5号

2017年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017 画像所見〔咽喉頭・食道〕

pink color sign

著者: 松井俊大1 千葉哲磨1

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院食道外科

ページ範囲:P.550 - P.550

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定義
 健常な食道粘膜にヨード染色を行うと,上皮内の有棘層に含まれるグリコーゲン顆粒とヨードが結合し,食道粘膜を茶褐色に染色する.しかし,グリコーゲンを産生する正常食道上皮が薄くなったり,消失したりすると,ヨードの染色性は低下し,不染帯となる.異型細胞が上皮の下層にとどまる場合は,上皮内にグリコーゲンがある程度保たれているため,ヨード淡染帯を示すが,上皮全層が異型細胞で置換されると,上皮内にグリコーゲンがなくなり,ヨード不染帯となる.このヨード不染帯が,数分後に本来の病変の色調であるピンク色を呈するようになる現象を,大森ら1)はPC sign(pink color sign)と命名した.PC signの原理については,いまだ不明な点も多いが,異型が高度になると上皮のバリア機構が障害され,染色後,早期にヨードが上皮内から消失し,本来の粘膜の色調であるピンク色を呈するという説2),また,PC signは病変の異型性ではなく,残存した正常上皮の厚さを反映しているのではないかとする意見もある.

参考文献

1)大森泰,横山顕.危険なヨード不染帯所見─Pink Color signの検討.Gastroenterol Endosc 43(Supple 2):S1613, 2001
2)Ishihara R, Kanzaki H, Iishi H, et al. Pink-color sign in esophageal squamous neoplasia, and speculation regarding the underlying mechanism. World J Gastroenterol 19:4300-4308, 2013
3)Shimizu Y, Omori T, Yokoyama A, et al. Endoscopic diagnosis of early squamous neoplasia of the esophagus with iodine staining:high-grade intra-epithelial neoplasia turns pink within a few minutes. J Gastroenterol Hepatol 23:546-550, 2008
4)Inoue H, Kaga M, Sato Y, et al. Magnifying endoscopic diagnosis of tissue atypia and cancer invasion depth in the area of pharyngo-esophageal squamous epithelium by NBI enhanced magnification image:IPCL pattern classification. In Cohen J(ed). Comprehensive Atlas of High-Resolution Endoscopy and Narrow Band Imaging. Blackwell publishing, Oxford, pp 49-66, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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